秋のお彼岸に咲く真っ赤な彼岸花(曼殊沙華とも言います)。
不吉だとか縁起が悪いとか、さんざんな言われようですが。
仏教でいう曼珠沙華は「白くやわらかな花」なんだそうで。
鮮やかで美しい彼岸花が、なぜ不吉なのか?
なぜきちんとお彼岸に咲いて、こつぜんと姿を消すのでしょうか。
「白くやわらかな花」の印象とはかけ離れた日本の赤い彼岸花です。
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彼岸花が咲くと秋が来る・・・
8月のお盆が終わると、暑い夏もようやく後半に入ったなぁと思います。
関東ではここ数日、実に爽やかで朝晩は肌寒いほどですが、まだ暑さは戻ってくるのでしょうね。
昔から「暑さ寒さも彼岸まで」 とは言いますが死者が出るほどの酷暑や、そのあと彼岸を待たずに朝晩冷え込むような日が来るのも「異常気象」ということでしょうか。
昨年(2018年)8月17日には北海道の大雪山でまさかの初雪を観測しました。
8月に初雪を観測したのは15年ぶりで、平年より約1か月早かったそうです。
近年の気象は暦通りにはならないですね。

初冠雪と彼岸花
『チャフカ』さんから拝借https://chafuka.jp/mtfuji/gallery_ama/detail.html?CN=1803
これを撮ったのは2016年9月25日だそうです。
例年、彼岸花が咲くと 秋だなぁ と思いますが、今年は例年通りになるのかどうか・・・。
さて、秋のお彼岸です。
秋分の日を「中日(ちゅうにち、なかび。どちらでも)」として前後3日間、合計7日間です。
今年(2019年)は 9月23日(月)が秋分の日で中日ですので、9月20日(金)が彼岸の入り(いり)、9月26日(木)が彼岸の明け(あけ)です。
お彼岸は何をする日か、というのはこの記事↓をご覧いただきたいと思います。
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彼岸花(曼殊沙華)を摘んではいけません。
秋彼岸は、おはぎ(春はぼたもち、同じものなんですけど)と、秋のお花をお墓やお仏壇に飾ってあげましょう。
ご先祖様に思いを馳せ、徳を積みましょう。
と言いつつ、忙しさに紛れ、私も特に何もしないのですが、忘れずに心がけなさい、と語りかけてくれるものが秋の彼岸にはあります。
彼岸花です。
曼珠沙華(マンジュシャゲ、マンジュシャカ)とかリコリスとも言いますね。
リコリスは同じ名前の植物があって、いわゆる「甘草(カンゾウ)」、スペインカンゾウ、ヨーロッパカンゾウもリコリスなんですね。
彼岸花のリコリスは Lycorice、ヒガンバナ科ヒガンバナ属の多年草の球根植物、
カンゾウのリコリスは Licorice、マメ科カンゾウ属の多年草、日本では生薬で知られる甘草、球根はありません。
今回は彼岸花のお話、秋のお彼岸の時期になると間違いなく、いきなり咲く真っ赤なあの花です。
子供の頃、
「彼岸花を摘んではいけない」
ときつく言われましたが、それは彼岸花に毒があるから、と知ったのはかなり大人になってからです。
彼岸花は花も茎も葉も、球根にも毒があり、間違って食すと吐き気や下痢を起こす、時には中枢神経のマヒを起こし死に至ることもあるそうです。
彼岸花は湿地を好みます。
そういえば岸辺や水気の多いところに群生していますね。

田んぼの畔に咲く彼岸花
田んぼやお墓のまわりに多いのはその毒性から、人が意図的に植えたことが多いそうです。
田んぼのあぜ道はモグラやネズミ、害虫を寄せ付けないため、
お墓は土葬だった頃、虫よけと、動物に遺体を掘り荒らされないためだったそうです。
しかし毒性がある、ということは害獣、害虫除け以外にも何か役に立ちそう。
やはりです。
球根は石蒜(せきさん)という生薬で利尿や去痰作用があり、
球根をすりおろしたものは、腫れものやたむしの患部に効くそうです。
毒成分の一つであるガランタミンはアルツハイマー病の治療薬や小児麻痺や筋無力症などによる運動麻痺の治療に、リコリンはアメーバ赤痢治療薬ジヒドロリコリンの製造原料に用いられる、とありました。
そんなキョーレツな成分を持つ彼岸花ですが、田んぼやお墓、堤防などの身近なところに植えたのは最後の最後の非常用の食料として利用するためだったとか。
しかるべき解毒をほどこした彼岸花からはデンプンがとれるからだそうですが、毒抜きは相当難しいらしいです。
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彼岸花(曼殊沙華)は不吉な花?
いきなり咲く彼岸花。
なぜいきなり咲くのか、ちょっと気持ち悪い。 と、ずっと思っていました。
そのからくりは。
彼岸花は芽も出ないし、何もないところからいきなり節(ふし)も葉もない茎がぐんぐん天に向かって伸び、花が咲きます。
茎が出てから花が咲くまで約1週間。
まったく、昨日まで何もなかったところにいきなり咲く印象があります。

彼岸花のつぼみ
花が咲いて、お彼岸の期間と同じように1週間くらいして花が枯れると、今度は葉が出てどんどん茂ってきます。

花が終わってから葉が茂る
不思議なことに葉っぱだけで冬を越し、春になると葉も枯れて、ふたたび地上には何もなくなり、秋にまた茎が出るのです。
葉っぱだけになった彼岸花を見て彼岸花だとは思えず(思わず)、いきなり咲いていきなり消える不思議な花だと思っていました。
昔の人も同じように思ったんですね、きっと。
急に真っ赤な、それも燃えるようなキツイ赤の花を咲かせ、消える。
毒があって虫も寄せ付けない。
お墓の周りに咲く(植えたんでしょうに)。
おおよそ日本人の感覚には合わず、忌み嫌われる要素がたくさんあるので
死人花(しびとばな)、幽霊花(ゆうれいばな)、捨て子花(すてごばな)、地獄花(じごくばな)などさんざんな名前をつけられてしまう、摘んではいけない不吉な花といわれてしまうのですね。
持ち帰ると家が火事になる、なんてのもあるそうです。
まぁ不吉かどうかはどもかく、摘むな、持ち帰るな、というのは子供がやたらと触らないように、ということなのでしょう。
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彼岸花(曼殊沙華)は天上の花
「彼岸花」の名は、その通りお彼岸に咲くところから彼岸花と名前が付けられたとされるのが通説のようですが、最後の非常食であることから「悲願の花」という意味があるとも言われます。
また、日本の仏教ではお彼岸はご先祖様を思うと同時に善行を行い徳を積む期間なので「日願」から来ているとも言われます。
それと、あるいは花と葉が出会うことがない、逢いたいけど逢うに逢えない悲願、なのかもしれないと思いました。
それで思い出しましたが、ちょっと悲しい彼岸花を歌ったのは、山口百恵さんの「曼殊沙華」「悲願花」でしたね。
それはそうと、気持ち悪いとかコワいとか、不吉なイメージが先行しがちな彼岸花ですが、一方では「天上の花」として赤い花をめでたい兆しともするそうです。
極楽に咲く花は4つ、曼珠沙華の他はみな蓮の花だそうですが、地上で良いことがあると天から赤い花が降ってくる、というのは曼殊沙華なのでしょうか。
花言葉も「情熱」「独立」「再会」「あきらめ」「転生」「悲しい思い出」「想うはあなた一人」「また会う日を楽しみに」など、不吉なことはひとつもありません。
色々言われる彼岸花ですが、実は私はけっこう好きな花です。
花も、赤だけでなく白や黄色もありますが、やはりどうも赤が良いですねぇ。

黄色い彼岸花

白い彼岸花

淡いピンクの彼岸花

白い縁取りのある彼岸花
彼岸花の群生するところや名所も各地にたくさんあり、迫力の彼岸花を鑑賞できるイベントも数多くあります。
高市郡明日香村島庄・飛鳥光の回廊・彼岸花祭り 2018 9月22,23日
今年も近くの群生地に行ってみようと思います。
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