山父は一つ目一本足の日本に伝わる妖怪。
山爺(やまじじい)、やまんじいと呼ぶ地域もある。
その大声は天地を震わせ、岩を動かすと言われるそうな。
「目は二つ目だが、片方が大きく片方が非常に小さいため、
一つ目に見えるとある。一つ目の伝承は、この一つ目に
見える二つ目が誤解されて伝わったものともいう。」
(Wikioedia より 抜粋、画像もWikipedia)
スポンサーリンク
阿波、土佐(現 徳島、高知あたり)に伝わるお話。
むかしむかしあるところに一人の桶屋(おけや)がおりました。
雪の降った朝、桶屋が外に出て仕事をしていると、
山の方から一つ目一本足の恐ろしい怪物がやってきて
働いている桶屋の前に来て立ちました。
桶屋は恐ろしくてぶるぶると震えながら
「これがうわさに聞く山父だな・・・」
と思いました。
するとその怪物は
「おい、おまえ今、これが山父だなと思っただろう?」
桶屋が
こっちの思っていることがわかるのか?
これは大変だ!
と思うと、
「おい、おまえ今、こっちの思っていることがわかるのか
これは大変だ!と思っただろう?」
と言います。
う、うわぁ・・・ こりゃ困ったぞ・・・
何を思っても、思うそばからなにもかも言い当てられて
桶屋は困り果ててしまいました。
もう頭はぼ~っとしてくるし
恐ろしくてその場を離れることも出来ず、
桶屋はぶるぶる震えながらしかたなしに仕事を続けました。
そうして、
あまりの恐怖と寒さでかじかんだ手が思わず滑って
桶の箍(たが)の竹の端が前へ弾けて
山父の顔を パチン! と打ちました。
「あ!」
桶屋は固まりました。
「あ!」
山父もこれにはびっくり仰天!
「人間というやつは時々思っていないことをするから
怖い。 ここにいたらどんな恐ろしい目に合うか
わからん! ああ恐ろしや」
と言って
先ほど来た山の方へどんどん逃げて行ってしまった
そうです。
***********************
山父は同じ山の妖怪「山姥」など、人を襲う妖怪と比べ
性格がおとなしく、人に騙されることもあるとか、
人間に福をもたらす妖怪だという説があり、
またそれにまつわるお話もいくつかあるようです。
人の心を読むとは恐ろしい妖怪ですが、偶然が起こした出来事を
「人間は思っていないことをする」といって恐れるところが
なにか人間っぽくて憎めない妖怪ですね。
高知県には山爺のお話がたくさん残っているそうです。
『土佐お化け草紙』には、
馬で荷を運んでいた男が山父(山爺)に荷を食べられ、
しまいには馬まで食べられてしまったというお話がある
そうです。
スポンサーリンク