お正月とお盆はよく似てる!日本の2大行事に共通点が多いのはなぜ?

十五夜
十五夜

お正月は新しい年が明けたことを祝い、
今年もまた幸せな1年でありますようにと願う
とてもおめでたい行事ですね。

お盆は我が家のご先祖様が我が家に里帰りなさるので
一家で歓迎し、おもてなしをしてゆっくりとしていただく
年に1度のご先祖様のための行事です。

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日本の2大スペシャルイベント

日本のもっとも大きな民間行事と言えばお正月とお盆。

どちらもそのためだけに連休になるのはこの2つです。

一番長い連休ということではゴールデンウィークかもしれませんが
これはタダのお休み、過ごし方は個人個人で色々。
全国民の一致した目的というか、お休みの理由はないですもんね。

「お正月」といえる期間は

  • 1月1日から3日までの「三が日」
  • 松飾のある7日までの「松の内」
  • お供え餅をげる11日=「鏡開き」まで
  • おおよそ15日の「小正月」まで

各地域や家々で多少の違いはあれど、だいたいこんな感じですよね。

祭日となるのは1月1日だけですが、日本の特大イベントなので
多くは年末から三が日または松の内あたりまでが連休となります。

「お盆」の期間は

これはお正月よりももっと日程がまちまちで、地域や家々によるけれど
全国的な措置?としては、

8月13日~16日あたりの数日間 を「休業」とする

という会社が多く見られます。

この間に祭日はありませんが、
2016年から8月11日「山の日」として祭日になりました。

これによってお盆休みは8月11日から、ということになるのかも
知れませんね。

もちろん業種や職種によって
人の休む時が「書き入れ時」な場合はお休みどころではないし、
今は生活スタイルも多様です。

お正月もお盆も、休んだこともない人、やったこともない人は
相当数いらっしゃることでしょう。

でも、
「お正月休み」「お盆休み」と言って通じない人はおそらくいない
と思います。

江戸時代の頃には
「藪入り(やぶいり)」とか「親見参(おやげんぞ)」などと言って、
この日ばかりは奉公人も故郷に帰れる嬉しい連休があった、

とういお話は
「盆と正月が一緒に来た」の記事に書いています
それほどに多くの人が同じ目的で一斉に連休を取る行事は他にありません。

昔から 日本人のあたりまえ過ぎる 2大スペシャルイベントです。

お正月とお盆はもともと似ている行事なのです

お正月とお盆が似ているって?

そうだそうだ!確かにそっくりだ! という人と、

え~~? 全然ちがうじゃん! という人と

両方いらっしゃると思います。

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とりあえず、

お正月 は 新しい年を祝い、幸せな1年を願うもの
神社に初詣に行くからどっちかっていうと「神道」の行事?

お盆は は ご先祖様をお迎えしおもてなしをするもの
仏様の行事だから、これは仏教の行事なんでしょうね?

まぁこのへんが現代日本人の共通の認識ではないかと思います。

この2大イベントの、何が共通しているのでしょうか。

お祀りする「神様」は「ご先祖様」だった?

お正月は新しい年を祝うものではあるけれど
もともとはその意味が今とはちょっと違っています。

新年を祝い、願うことは、家内安全と幸福はもちろんですが

その前に、農家では五穀豊穣、商家では商売繁盛、
それが叶って初めて家族・一族の幸福があるわけです。

だからお正月は、その年の「年神様」をお迎えし
その年の豊かであることを願ってお祀りするのです。

その神様は普段拝んでいる家の神棚の神様とは別で、
日頃は遠い所にいます神であり、
年末になると年越しの祭を目当てにはるばると我が家を訪れて
下さいます。

その年神様を「歳徳神(としとくじん)」「正月様(しょうがつさま)」
などと呼ぶようになったのは最近のこと、もとは呼称などもなかった
ようです。

年神様の正体もまったく曖昧です。

商家であれば福の神、農家であれば田畑の神を思ったことでしょうし、
そもそも家々によって「願う福」は違うし、それをすべて1つ1つ
聞き分けて叶えてくれる神がひとつと考える方が不自然です。

家々で違う事情を汲んで願いを叶えてくれる神、
それはすなわち 
その家の、一族の、ご先祖様=「祖霊」を想定していたのではなかったか
と考えるほうがよほど自然です。

お盆 にお迎えする「ご先祖様」もはなはだ曖昧です。

最近に亡くなった身内は別としても、何代も昔のご先祖様は
誰といってはっきりしないのは当然で、それを個別におもてなしする
ことは不可能です。

そうしたご先祖様たちは「祖霊」として一体となり、子孫末裔を
守って下さると考えられたことは想像するに難しくありません。

「神様」「ご先祖様」のお迎えの仕方も似ている

お正月には「年神様」「歳徳神」「正月様」などなどと呼ばれる
年の神 をお迎えします。

年神様は毎年「恵方(えほう)」からやってきます。
「恵方」は「吉方(えほう)」「明の方(あきのほう)」とも言い、
誰が決めるのかわかりませんが(陰陽師とからしい)、
前の年に次の年の「恵方」が決まるのだそうです。

年神棚は恵方に向けて作られ、注連(しめ)を張ります。

祭具や食器を新調し、
福箸、釜の棒、祝い木、削花などを用意し
を各部屋の入り口などに立て、
一番大きな「門松」を家の入口に立てます。

「門松」だから門前に立てる、のはごく最近の都会の習わしのようです。

今の時代は元日の朝、初日の出を拝んで年明けとする印象ですが
旧暦の1日は日没~日没までなので新年も前の日の日没を境に新年となり
年神様の来訪も夜明け前であり、大晦日に諸々の飾りつけをするのでは
遅かったのでしょう、
「一夜飾りはいけない」というのはここから来ているようです。

お盆には最近亡くなった方も遠いご先祖様もみんなお迎えします。

ご先祖様が逗留する神聖な場所として、仏壇のほかに盆棚を設え、
境界として縄を張ります。

迎え火・送り火提灯、牛、馬などを用意してご先祖様が迷わないよう
目印を点け、楽に往復できる用意をします。
松は立てないけれど盆花を飾ります。

お正月の年始回りに似た「盆礼」は今もわずかながら残っています。
本家・分家の間のお盆の訪問などはまさに重要な盆礼ですね。

人同士の挨拶より先にまず盆棚にご挨拶をするのが作法というのも、
年配の方々には常識かも知れません。

そしてまた、
この1年の間に不幸があれば今で言う「新盆」となり悲しみが
先に立ちますが、それほど頻繁にあることでなく、
しばらくそういった不幸もなく家族が平穏であればめでたい日であり、
実際、盆の挨拶にも「おめでとう」という言葉が使われました。

皆さま相変りませずお元気で平穏で、良いお盆でおめでとうございます。
というのは、新年のご挨拶と同じですよね。

「神様」「ご先祖様」のお迎えの仕方も似ている

ともかく、
お正月やお盆に我が家を訪れて下さる「神」「祖霊」を丁寧に
心を込めてお祀りすることで、我が家・一族の安泰、商売繁盛、
五穀豊穣のご利益があると考えられたわけです。

ここには人としての自然な感情があるだけで、
神道だの仏教だのというのは、後付けの意味でしかないだろうと
思います。

それを(その祈りを)カタチに現す必要性から
今で言う神道や仏教の「方式」を用いたのではないかと思うのです。

そもそも、「祝う」という言葉は現在の意味とは少し違って、
本来の意味は

身と心を穢れ(けがれ)なく清くして
祭りを行うのに適した状態であることが「いわい」であった
とのことです。

もともとは「斎う(いわう)」という字を書き、
神社の御社の祭りの準備も「いわい」であり
正月はその年の年神様を祀り、盆には先祖を祀る「いわい」
であり、その慎みをきちんと守っている状態が「めでたい」
と言われたのです。

また、年神様やご先祖様のお姿を明確にせず曖昧なままなのは
同じご先祖様がお正月には年神様に姿を変えてやってくる
ということを、口には出さずとも承知していたからだという
お話もあります。

よくわからないものは曖昧なままにして
その時々でふさわしいように解釈する、それは日本人の美徳と
ともいえる懐の深さだと感じます。

こうしてみると、もとはお正月とお盆、半年ごとに
同じようにご先祖様が家に帰って来られ、再会できる嬉しい日
であることに変りはないのです。

それをことさらに
お正月は神道の行事、仏教の行事と区別したのは
神道、仏教の進化、変化とともに広く一般化したこと、
旧暦(太陰太陽暦)から新暦(太陽暦・グレゴリオ暦)への移行
(明治5年)が大きく影響したものといわれます。

今なお数多く残る旧暦のお正月・お盆

旧暦の頃、人々は日の出と日没によって昼夜を分けました。
つまり「1日(いちにち)」は、
「昼夜」でなく、日没から始まり次の日没で終る「夜昼」です。

そして月の満ち欠けで「日」を数え、
農作業の具合に合わせて様々な年中行事を実施し、暮らしました。

旧暦では新月の日を「朔日(ついたち)」=1日とし、満月(十五夜・望月)の日を
境に反対側が欠けていって、晦日月(みそかづき)まで平均29.5日、これを12ヵ月
で1年と固定すると段々と季節がずれてしまうので、
19年に7回「閏月」を設ける
ことで調整します。

旧暦は立春に近い朔日(ついたち)を新年1月1日として新しい
年が始まります。

お正月やお盆の期日は暦をもとにだいたい一致しますが、
その準備や内容は地域によって様々な習慣がありました。

それが新暦になり、「日付」が固定され統一されたことで
かえって人々の暮らしには混乱が生じたことでしょう。

特に季節ごとの農作業は旧暦や二十四節気を目安にするほうが
便利です。

そうしたことで、今も旧暦による行事がたくさん残っています。
お正月の迎え方やお盆の日程などが地方によって様々なのは
そのためです。

お正月もお盆も
年神様やご先祖様をお祀りするため、おもてなしするためのものが
今は本来の意味とは別のものになっていたりしますね。
お年玉などはその意味が大きく変わったもののひとつです。

もともと民間行事は人々の暮らしに沿って変ってゆくものですから
これは自然なことだとも思います。

ただ、歴史をたどり、変化の軌跡をたどることは決してムダではなく
むしろ新しい発見や気付かされることが多いと感じます。

いわゆる普通の民間人の暮らしや価値観は
ここ最近、たった100年くらいの間にも大きく変化し、
今の「あたりまえ」が全然あたりまえではなかったこと、
反対に、今なお昔の人々の「あたりまえ」が少しも変わらずに残って
いることなどなど、

この年末・年始を過ごす間にちょっとググってみるのも
新年を祝うのにふさわしいことなのではないかと思います。

この記事は『先祖の話』柳田国男著(角川ソフィア文庫)を参考にしました。
改定版でも言葉遣いが少々難しいけれど各地の風習も盛りだくさんで面白いです。

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