お正月になると必ず起きるのが、お餅による窒息事故。
なんと1月は、毎年1,300人以上の方が亡くなっているそうです。
そしてその9割以上が65歳以上の方だそうです。
食事中に大笑いする、怒る、泣くなどは 「きちんと噛んでゆっくり飲み込む」を邪魔します。
お餅など喉に張り付くものは特に注意、穏やかな気持ちで落ち着いて「食べる」に集中できるようにしましょう。
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「誤嚥」の原因を知れば高齢者だけのことではないのです
お餅を喉につまらせた、と聞くと即座にお年寄りだな、と思いがちです。
でも原因は「高齢だから」ではなく、原因を考えると必然的に高齢者に多い、ということなのです。
息をする時も食べ物を飲み込む時も同じように喉を通りますが、
私達の体は、自然に食べ物は食道を、呼吸は気道を通るように出来ています。
それがどういうわけか間違って、食べ物や飲み物が気道に入ることを「誤嚥(ごえん)」と言います。
誰しも1度や2度は経験がありますよね。
あれは苦しいですよね、ものすごくむせますよね。
この、「むせる」ことで間違って気道に入ったものを押し戻すことが出来ます。
食べ物を食べること、飲み込むことを「嚥下(えんげ)」と言いますが、この嚥下機能が弱いと誤嚥を起こしやすいのです。
お餅ばかりでなくこんにゃくゼリーを喉につまらせた事故が起きてニュースになったりしますね。
飲むこと、食べることには、噛む力、飲み込む力、咳き込む力が必要なんです。
誤嚥は、これらの力の弱い小さなお子さんや高齢者によくあることですが病中・病後など筋力、体力の落ちている時も要注意です。
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お餅が喉に詰まるとどうなるのかー怖い窒息死ー
お餅を喉につまらせて窒息する、ということはお餅が気道を塞ぐからです。
これは「誤嚥(ごえん)」が原因ですが、モノが詰まったのが食道でなく気道なら窒息死の危険があるのです。
窒息は、まず「低酸素脳症」を引き起こすそうです。
息ができない→体内の酸素がなくなる→脳に酸素が行かなくなる(全身の臓器も酸欠でダメージを受ける)
脳は、3分〜5分酸素が供給されなければ元に戻らないほどのダメージを受けるそうです。
これが「低酸素脳症」で、多くの場合は死に至るそうです。
実際、お餅を喉に詰まらせ、むせることも出来ずに気道を塞いでしまうと、息が出来ない状態が数十秒続くと意識がなくなります。
脳へのダメージが起こるまでの3分〜5分で喉に詰まったお餅を取り出せるでしょうか?
すぐに救急車を呼んでも、かなり危険な状況です。
誰かが口の中を見て詰まったものが見えれば無理やり取り出すことも出来るかも知れませんが、見えなかったら・・・またはもっと押し込んでしまったら・・・。
とにかく時間がないのです。
窒息であれば水を飲ませるのは厳禁だそうです。
つい、お水! と思いそうですが、息も出来ないのに水を流しこんだら逆効果です。
周囲の人が出来る方法として「腹部突き上げ法」や「背部叩打法(はいぶこうだほう」という、お腹を突き上げたり、背中(肩甲骨と肩甲骨の間)を強く叩くことで詰まったものをはき出させる方法があるようですが、これもかなりちゃんと頭に入っていないと難しそうです。
対処法より予防法を頭に入れることのほうが確実に命を救えると思わざるを得ません。
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高齢者の嚥下機能の低下は思った以上に要注意
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小さなお子さんの場合は、その年齢によってこれは大丈夫、これはダメ といった基準がある程度わかるかもしれません。
が、高齢者の場合は「その人の状態」が人によってマチマチです。
80歳でもものすごく元気な人もいるし、60歳でも様々な症状を抱えている人もいます。
ですので、家族や身近にいる人が年をとったらこういうことがあるな、というのを理解しておくことが大事ですよね。
加齢による体の変化が「食べる」ことに影響する
年をとるとあちこちの筋力が弱くなるのはあたりまえのこと、でも自分ではどの程度弱くなったのかわかりずらいこともあるかもしれません。
ある日急に衰えるわけでなく、変化は徐々に、少しづつ、なんですから。
まだまだ大丈夫と思っても、意外な衰えに自分でびっくり!なんてこと、誰にでもあります。
「食べる」ことにも色々な筋肉が動くし、色々なチカラが要るのです。
口や喉の筋肉、舌の筋肉は「噛むチカラ」に影響します。
ちゃんと噛むためには「歯」が大事。
歯が丈夫でも、その歯を支える「歯茎」が先に痩せてくることもあります。
入れ歯や義歯になれば歯茎は加速度的に痩せたり弱ったりします。
咳き込むためには体力が要ります。
腰が痛い、膝が痛いなど、痛い所があれば運動量が減り、体全体の筋肉が減り、筋力も落ちます。
それらがすぐに嚥下機能を低下させたり、嚥下障害を引き起こすことはなくても
誤嚥を起こすことが増える、ということはあるかも知れません。
食べたいけど食べにくい、噛みにくいからよく噛まずに飲みこもうとするとか、
お水やお茶で流しこもうとするとか。
加齢による心の変化が「食べる」ことに影響する
例えば心配性になったり、喜怒哀楽が乏しくなったり激しくなったり。
耳が遠くなったり、物音に敏感になったり。
こういうことが「平常心」を簡単に乱すことになるということもありますね。
何かを食べている時に急に声をかけられて、びっくりして飲み込むとか振り向きざまに飲み込むとか。
返事をしようと思って急いで飲み込むとか。
食事中に大笑いする、怒る、泣くなどは 「きちんと噛んでゆっくり飲み込む」を邪魔します。
お餅でなくても、何でもそうですが
「食べる」時は、落ち着いて食べることに集中する環境がすごく大事になってきます。
楽しい食卓、だんらんのひとときは何物にも代えがたい大切な時間ではありますが、気持ちを乱さないこと。
「食べる」ことにちゃんと向き合わないと思わぬ事態を招く可能性があるなぁと思うのです。
それでも予期せぬ事故はありえますよね。
とにかく急いで119番、状況を説明して指示を仰いでください。
家族でもできるイザというときの対処法が、こちらに詳しく解説されていますので普段からこういう情報を見ておくことも大事だと思います。
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食べやすい工夫は面倒だけどやっぱり大事。
お餅なら小さく切る、焼くより煮る、きなこよりゆるめのあずきあん、醤油だけじゃなく大根おろしと などなど。
大きさ、水分、のどごし、温度など、飲み込みやすく詰まりにくい工夫は必要です。
そもそも、喉に張り付きやすいものは避けるってことが一番良いかと思いますが。
おせんべいやクッキーなど、水分がなくて噛むとカドが尖るものも、喉にひっかかりやすいですね。
(これは年寄りというより私自身がよくむせるので、お茶が必須です)
食べ物は、素材、切り方、調理法をよく選ぶことと、飲み物(水分)を添えること。
まだまだそんなことどうでも良い年齢のうちは本当に手間がかかるし面倒だけど、いずれは我が身と思ってしなきゃいけないなと思います。
まして1年の初め、めでたいお正月。
めでたく楽しく新しい年をお祝いしたいですものね。
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